4代目 居山哲也のひとりごと

Vol.7
もち米自慢の桜餅
2018.3.7 wed.

春は駆け足。桜餅の季節になりました。餅を包む桜の葉は、西伊豆の特産品です。弊店では、地元・沼津で丁寧に塩漬けしたものを用い、春の香りをお届けしています。

桜餅には大きく分けて、小麦粉を使った皮で餡を包む関東風の長命寺と、もち米を使った関西風の道明寺があります。一般的に道明寺といえば、顆粒状にした道明寺粉を使いますが、弊店の道明寺はもち米をそのまま蒸し上げて使用しています。

少し遠回りしますが、和菓子で使用する米粉についてお話を。原料となるのは、もち米とうるち米の2種類。もち米は、加熱することで強い粘りが生まれ、それを乾燥させて挽くと餅の材料に。うるち米は、粘りの少ないでんぷんを含むため、粉加工の仕方によって歯ごたえを感じる材料になります。

和菓子屋が使う米粉は13種類ほど。生の米を粉にした生粉製品と、加熱・乾燥後に粉にした糊化製品があり、挽く粒子の大きさでも名前は分かれます。たとえば、道明寺粉はもち米を加熱して挽いたもので、白玉粉はもち米を非加熱で挽いたもの。団子や柏餅などに使う上新粉はうるち米を非加熱で挽いたもの、高級菓子に使う薯蕷粉はうるち米を非加熱で挽いていますが、上新粉よりも粒子が細かく、きめ細やかな仕上がりになります。

話を桜餅に戻しますと、「米のままが美味しい」という理由で、弊店では道明寺粉は使わずにきました。米粒のもっちりとした食感を、ぜひお楽しみください。

4代目居山哲也

Vol.8
Coming soon. 次回は、珈琲と和菓子について。
Vol.7
もち米自慢の桜餅
Vol.6
豆大福でほっこり
Vol.5
「いせやのアイコン…梅花と丸?」
Vol.4
“餡”と“和三盆”の関係
Vol.3
大切な物を包む
Vol.2
「昔のロゴ、なぜCが4つ?」
Vol.1
「デザイン好き?」

4代目 居山哲也のひとりごと

Vol.6
豆大福でほっこり
2018.2.14 wed.

梅の花、豆まき、立春。少しずつ春めいて、外出や集いの機会が増えてきた頃でしょうか。沼津御用邸では、桃の節句のひな飾りと合わせて、観梅茶席も開催されており(3月11日までの土日、祝日に開催)、梅園ではお抹茶と合わせまして弊店の雪後の春をお出ししています。

さて、今回は、集いの席にも楽しんでいただける、定番の豆大福についてお話します。

生地に使用するもち米は、新潟県津南産の「こがね」という品種。弊店の菓子づくりのために、栽培から貯蔵、精米まで特別に扱っていただいています。津南町は“水の郷百選”に指定されていて、依頼している生産者さんは有機農法によって作物本来の力を引き出す米づくりをされています。この恵まれた環境で安全に育てられたもち米を使って、弊店ならではの歯切れよい、もち米本来のうま味を感じられるような生地に仕立てています。餡は職人が丁寧に焚き上げ、赤えんどう豆は、食べた時に少しの塩気を感じられるように。そして、お一つずつ丁寧に職人の手でお包みしています。

個人的には、豆大福は気取らずに手でつまんで食べるのが美味しいと感じます。新しいことの始まる季節は、身近な人たちとの歓談も弾みそうですね。

4代目居山哲也

Vol.7
もち米自慢の桜餅
Vol.6
豆大福でほっこり
Vol.5
「いせやのアイコン…梅花と丸?」
Vol.4
“餡”と“和三盆”の関係
Vol.3
大切な物を包む
Vol.2
「昔のロゴ、なぜCが4つ?」
Vol.1
「デザイン好き?」

4代目 居山哲也のひとりごと

Vol.5
「いせやのアイコン…梅花と丸?」
2018.1.24 wed.

ホームページに使用している、淡い色の梅花と丸のシルエットデザイン。弊店のアイコンとして、山口デザイン事務所さん(当コラムvol.3にてご紹介)に考案いただいたもので、ショップカードやパッケージなどにも使用しています。アイコンとは、物事を簡単な絵柄に記号化したもの。梅花のアイコンは薯蕷饅頭「雪後の春」を、丸のアイコンは代表銘菓「平作もなか」をモチーフにしていただきました。

ショップカード

「雪後の春」は、皇太子殿下御成婚記念公園として整備された沼津御用邸梅園にちなんだ記念菓。弊店の和菓子を真・行・草にたとえるなら、真は「雪後の春」、行は「平作もなか」、草は「素六撰」、というふうに考えています。また、和菓子と洋菓子を文化の違いから見て行くと、石積み文化の中に育った洋菓子は外側をデコレーションして作っていきますが、背景に神道の影響をもつ和菓子は、大事な物を内に包んでいきます。注連縄で大事なものを囲うという感覚のように、私たちにとって和菓子の基本は餡であり、それを包んで和菓子に成ります。そして、封を開けて食すこともまた、内なる大事な物に入っていく行為に重なります。

シンプルな梅花と丸のアイコンですが、そうした和菓子の概念にもつながっています。

4代目居山哲也

Vol.7
もち米自慢の桜餅
Vol.6
豆大福でほっこり
Vol.5
「いせやのアイコン…梅花と丸?」
Vol.4
“餡”と“和三盆”の関係
Vol.3
大切な物を包む
Vol.2
「昔のロゴ、なぜCが4つ?」
Vol.1
「デザイン好き?」

4代目 居山哲也のひとりごと

Vol.4
“餡”と“和三盆”の関係
2018.1.3 wed.

新年が明けますと、弊店の店頭には「うぐいす餅」が並びます。(西武渋谷店も朔日餅として限定のご用意)。別名・春告鳥とも呼ばれる鶯。その春らしい色味と音の響きにあやかった、初春の餅菓子です。今回は弊店にとって最も大切な物のひとつ、“餡”についてお話します。私たちの餡は日持ちより美味しさを優先。糖度を高くすれば日持ちは長くなりますが、甘過ぎては小豆本来の味が隠れてしまいます。出来立てのお料理が美味しいように、私たちは小豆の風味良い餡を召し上がっていただきたいのです。

北海道産大納言小豆と香川県産和三盆

材料は北海道産大納言小豆に砂糖、そして香川県産の和三盆です。餡に和三盆を使用するようになったのは、祖母・みつに始まります。結婚前、銀座の萬年堂さんで働いていた祖母は、そちらで和三盆を使用した上級菓子を扱っていました。沼津に嫁いでからも、いつか自分の店でも和三盆菓子を扱いたいと願っていました。

毎日着物で過ごしていた祖母。髪をきれいに整え、真っ白な割烹着でパリッと身繕いしていました。

その願いがかなったのは、和三盆の特性あってのこと。上品な甘味が特徴の和三盆ですが、取り合わせる材料を引き立たせるという素晴らしい特性もあります。つまり、和三盆は小豆の風味を引き立たせてくれる大切な存在なのです。気の遠くなるような工程を経て完成する希少な和三盆。量よりも、特性を生かすよう大事に使って、フワッと甘味の広がる弊店こだわりの餡に仕上げています。

餡をたっぷり包んだうぐいす餅。両端をきゅっとつまんだ愛らしい姿。鶯を思い浮かべて、どちらがくちばしか尾かと想像するのも楽しいものです。

4代目居山哲也

Vol.7
もち米自慢の桜餅
Vol.6
豆大福でほっこり
Vol.5
「いせやのアイコン…梅花と丸?」
Vol.4
“餡”と“和三盆”の関係
Vol.3
大切な物を包む
Vol.2
「昔のロゴ、なぜCが4つ?」
Vol.1
「デザイン好き?」

Continue reading

4代目 居山哲也のひとりごと

Vol.3
大切な物を包む
2017.12.13 wed.

弊店の始まりは”餅屋”、米を使用した菓子つくり。餡があって、それを餅で包む、というのが基本にあります。餡の話についてはまたの機会としまして、今回は餡を包んだ和菓子、それを紙で包む、「パッケージデザイン」についてお話します。

創業当時からの代表銘菓「平作もなか」は、先代の頃にサイズがひとまわり小さくなりました。一箱は9個入り、これを2段、3段と重ねられるスタイルです。パッケージを考案してくださったのは「山口デザイン事務所」の山口信博さんと美登利さん。「折形デザイン研究所」も主宰されていて、約10年前、私が折形教室に通ったことが出会いとなり、数年前から弊店のパッケージデザイン開発にご協力いただいております。

9個入り × 1段

9個入り × 3段

折形は、心を込めて和紙で物を包み渡す、という礼法で、日本に600年以上続くと言われます。大切な物を包む、そこが和菓子づくりと共通する概念でもあります。上質な北海道産小豆と香川県産和三盆でつくったこだわりの餡を、最中皮で包んだ「平作もなか」。その箱包みにも、どこか折形の精神が紡がれているように感じています。

箱を重ねられるデザインは、幕間にお重を広げる様子を表したもの。よいことを広げて行く、という意味合いも込めています。箱に入れた栞は、歌舞伎の緞帳をイメージ。

「平作もなか」の題字は、祖父の友人の書より、山口美登利さんが起用。

沼津を舞台とした歌舞伎「伊賀越道中双六」の登場人物「平作」にちなんだ最中。歌舞伎の幕間にも食されてきました。

4代目居山哲也

Vol.7
もち米自慢の桜餅
Vol.6
豆大福でほっこり
Vol.5
「いせやのアイコン…梅花と丸?」
Vol.4
“餡”と“和三盆”の関係
Vol.3
大切な物を包む
Vol.2
「昔のロゴ、なぜCが4つ?」
Vol.1
「デザイン好き?」

Continue reading

4代目 居山哲也のひとりごと

Vol.2
「昔のロゴ、なぜCが4つ?」
2017.11.22 wed.

前回は、「d design travel 静岡」掲載の弊店デザインについて写真とともにご紹介しましたが、そのブルー×ホワイトのデザインの中に、よく見ると「CCCC」という字列があります。これは祖父・健四郎が考案し使用していたロゴで、いせや本店の建物外看板にも刻まれています。

「いせや本店」の看板

祖父の遺した原画類

当時のロゴ、と言っても、Cが4つ、四角を描くように並んでいるのは少し変わっていますし、よくわからないですよね。でも、Cが2つなら…話は簡単です。
「Confectionary-Communication」略して「CC」。人と人とが集う時、お菓子を介して、豊かなコミュニケーションの場を創造してほしい、という願いを表した言葉です。
それではなぜCは4つなのか。私にもたしかなことはわかりませんが、おそらく祖父の名前「健四郎」にちなんでのこと。実際に祖父は数字の4に愛着があり、倍数も好んでいました。

若き日の祖父

いまではあまり使う機会のない昔のロゴですが、このロゴに込めた祖父の想いは、弊店の企業理念に受け継いでいます。

4代目居山哲也

Vol.7
もち米自慢の桜餅
Vol.6
豆大福でほっこり
Vol.5
「いせやのアイコン…梅花と丸?」
Vol.4
“餡”と“和三盆”の関係
Vol.3
大切な物を包む
Vol.2
「昔のロゴ、なぜCが4つ?」
Vol.1
「デザイン好き?」

Continue reading

4代目 居山哲也のひとりごと

Vol.1
「デザイン好き?」
2017.11.1 wed.

  「d design travel 静岡」 掲載イメージ

2017年七夕に発刊された「d design travel 静岡(弊店でもお取り扱い中です)はご存知ですか? 実はそこに掲載された写真の1枚に、いせや店主のちょっとした隠れ系譜?みたいなものが見られます。それは何かと言いますと…包装デザイン。

私の祖父・健四郎は、たくさんの包装紙や原画を遺していました。それらを眺めていると、意匠の数々の中に、祖父が好きだった形やニュアンスなどが生き生きと浮かび上がってくるようでした。祖父らしいデザインベース。昭和の遊び心あるごちゃごちゃ感。きれいに保存されているし、何かの形で残せないだろうか…。

それならこれをベースに表現したものを創ろう。と思い立ち、「d design travel静岡」に写真掲載されたデザインが生まれました。祖父や父が見つめてきた物をベースにしながら、私の想いをいまの感覚でデザインしていただいたもので、祖父や父の足跡を改めて感じています。

健四郎・直行の残した包装紙・原画

4代目居山哲也

Vol.7
もち米自慢の桜餅
Vol.6
豆大福でほっこり
Vol.5
「いせやのアイコン…梅花と丸?」
Vol.4
“餡”と“和三盆”の関係
Vol.3
大切な物を包む
Vol.2
「昔のロゴ、なぜCが4つ?」
Vol.1
「デザイン好き?」